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掲載日:2019.06.03

活躍する同窓生紹介:須磨美智子さん(地域環境学科2008年卒)

酪農学園大学 地域環境学科 2008年卒業
所属ゼミ:環境とエントロピー研究室
指導教官:矢吹 哲夫 教授

 私は2004年に酪農学園の地域環境学科に入学しました。入学したての頃は、志望校の受験に失敗し、正直不貞腐れていました。今の自分から当時の自分を見れば、なぜ受験に失敗したかはよく分かります。しかし、同期の友人には大変助けられました。同じ経験をした友人もいましたし、そうでない子も含め、気の合う友人が出来たのが大変嬉しかったです。

 結果的に、酪農学園に行ったことはとても良かったと思っています。当時仲の良かった友人にも感謝しています。酪農学園に行かなければ今の私は存在しませんから。

 さて、不貞腐れながらも酪農学園に通い始めた私は、大学2年の時、当時環境とエントロピー研究室の教授であった矢吹先生の物理学の講義を受講しました。不貞腐れながらも、先生の講義だけは楽しいと思えたのです。研究室配属が決まる3年生の時には矢吹ゼミに所属し、矢吹先生に進路の相談をしました。当時の私は、理系の就職先を考えるなら、再受験するしかないと考えていました。そんな私に、矢吹先生は大学院に行けば理系職に就けるというアドバイスをして下さいました。それが、私が大学院を受験し、研究者を目指すきっかけとなったのです。どうせ受験するなら矢吹先生の出身大学が良いと、京都大学の生命科学研究科を受験しました。矢吹先生に受験対策の面倒を見て頂いたこともあり、無事、大学院に合格で来ました。

 もともと生物学に興味があった私は、細胞分裂が厳密な制御を受けていることに興味を持ちました。例えば、がん細胞は細胞周期の制御が効かなくなっています。しかし、細胞には本来、細胞周期を制御するメカニズムが揃っています。その制御が破綻するのはなぜか、細胞内ではどの様なことが起こっているのか、これらを追求するのは非常に面白そうだと思い、細胞周期研究を展開している研究室に進学致しました。そこでは、モデル生物として分裂酵母を扱い、染色体DNAに焦点を当てた研究を行なっていました。染色体DNAは、細胞分裂をする時に微小管という細胞小器官に引っ張られて2つの細胞に分配されます。この時、微小管は染色体上に形成される動原体と結合します(図)。

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 この動原体は様々なタンパク質の集合体ですが、染色体上の何処にでも形成させるわけではありません。Cnp1(分裂酵母表記)と呼ばれるタンパク質が取り込まれている染色体領域に動原体は形成されます。このCnp1がどの様な制御を受けて染色体に取り込まれているのかを解析するのが私のテーマでした。私の研究結果では、動原体タンパク質を構成しているタンパク質の一つであるCnp3(分裂酵母表記)が、Cnp1の染色体への取り込みに関与することが分かりました。Cnp1が取り込まれる染色体の領域は、多くの生物種で1箇所に制御されています。この制御が乱れてしまうと、本来と異なる領域に動原体が形成されます。すると、染色体と微小管の結合に異常が起こり、染色体分配に異常が起こってしまいます。染色体が正しく分配されないと、多くの細胞は死に至ります。また、人では乳がん患者の細胞からCENP―A(分裂酵母のCnp1に相当するタンパク質)が本来と異なる染色体領域に取り込まれているという報告もあります。ご興味を持たれた方は、ぜひ大学院へ(笑)。

 と、色々語ってしまいましたが、大学院生活は楽しいばかりではありませんでした。研究者になる為には学位が必要です。この学位を取るのがかなり大変でした。しかし、その大変さを乗り越えた時には見える景色が変わります。諦めずに続けてきて良かったと思っています。今は、さらなるステップアップを試み、沖縄にある沖縄科学技術大学院大学のG0cell unitにお世話になっています。ここでは、同じく分裂酵母を使った染色体研究を行なっていますが、京都にいた時との大きな違いは、日本人が少なく、留学生や海外の教授、研究者が多いことです。より多くの研究者と日々議論し、一人前の研究者として仕事を続けられる様、仕事に励んでおります。最後に、私が研究者を目指すきっかけを下さった矢吹先生、そして酪農学園で出会った仲間に感謝致します。

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2019年6月1日
須摩 美智子

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酪農学園同窓会(2019.06.03)

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